脇汗の悩み、もしかして多汗症?「脇ボトックス注射」で対策 2025.06.11


松下 洋二
特に脇の下の汗は、ご自身の気持ちだけでなく、周囲の目が気になってしまうこともあり、深刻な悩みにつながることも少なくありません。脇の多汗症は適切な治療で改善が期待できます。脇の多汗症とはどのような症状なのか、そして美容医療の観点から見た様々な治療法、特に「ボツリヌストキシン(ボトックス)注射」による脇汗治療について詳しく解説します。
目次
もしかして多汗症? 脇汗の正体
人は体温調節のために汗をかきます。暑い時や運動をした時に汗をかくのは自然な生理現象です。しかし、必要以上に多量の汗をかき、日常生活に支障が出てしまう状態を「多汗症」と呼びます。多汗症には、全身に多量の汗が出る「全身性多汗症」と、体の限られた一部分に多量に汗が出る「局所性多汗症」があります。脇の下に多量の汗が出るのは、この「局所性多汗症」の一つです。多汗症の原因は明確には解明されていませんが、交感神経が人よりも興奮しやすいことで、発汗が促される可能性が言われています。また、特定の原因がない「原発性多汗症」と、糖尿病や肥満などの原因がある「続発性多汗症」、薬が原因の「薬剤性多汗症」などがあります。
気になる脇汗の症状
多汗症の重症度は、自覚症状によって4段階に分類される「Hyperhidrosis disease severity scale(HDSS)」という方法で評価されます。グレード3・4が重症とされています。
多汗症疾患重症度評価度(HDSS)
- グレード1 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- グレード2 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- グレード3 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- グレード4 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
多汗症と混同されやすいものに「ワキガ」がありますが、ワキガは脇の下にあるアポクリン汗腺から分泌される汗が原因で、特有のニオイが発生する症状です。一方、多汗症は主にエクリン汗腺からの汗の量が多い状態です。ただし、多量の汗と皮脂が混ざることでニオイの原因となる可能性もあります。
脇汗セルフケアの限界
脇汗に悩む方の多くが「こまめに脇汗を拭く」「制汗剤を使用する」といったセルフケアを行っています。しかし、これらのセルフケアは一時的に汗やニオイを抑えることはできても、根本的に改善することはできません。多汗症は体質によるものであり、一時的に抑えられても、時間が経つと大量の発汗と、それにともなうニオイが発生してしまいます。日常生活に支障が出るほど脇汗に悩んでいるのであれば、医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。
美容クリニックで受けられる脇汗治療

脇汗の治療法には様々な種類があります。内科的な基礎疾患が原因の場合は、そちらの治療が優先されます。原因が特定できない原発性多汗症の場合は、外用薬や内服薬、注射などの治療法があります。美容クリニックでは、過剰な発汗に対する治療として、以下のような方法が主に提供されています。
主な治療方法
- 外用薬:塩化アルミニウム液や、エクロックゲル、ラピフォートワイプなどの塗り薬があります。
- 手術:汗腺を切除する方法(剪除法や皮弁法、クアドラカットなど)があります。根本的な治療が期待できますが、外科手術が伴います。
- レーザー治療:マイクロ波を照射して汗腺を破壊する非切開の治療法です。自由診療となり費用は高額です。
- ボツリヌストキシン(ボトックス)注射:脇に薬剤を注射する方法です。汗腺を刺激する神経の働きをブロックし、過剰な汗の分泌を抑える効果があります。注射するだけの比較的手軽な治療方法です。
ワキ汗対策注射とは?手軽な脇汗対策の選択肢
様々な治療法がある中で、手軽さや費用、ダウンタイムなどを考慮して、ご自身に合った治療法を選ぶことが重要です。ここで注目したいのが、ボツリヌストキシン(ボトックス)注射による脇汗治療です。これは、大量のワキ汗で悩んでいる方におすすめの治療法の一つです。
ボツリヌストキシン注射とは、ボツリヌス菌から抽出されたタンパク質の一種である「A型ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)」を薬剤として生成し、悩みの箇所に注射します。一般的に「ボトックス注射」として知られていますが、「ボトックス」は特定の製品名(アメリカ・アラガン社製)であり、成分名はボツリヌストキシンです。
ワキ汗対策注射の効果
脇の下へのボツリヌストキシン注射は、汗腺を刺激する神経の働きをブロックし、過剰な汗の分泌を抑える効果があります。具体的には、神経から汗腺への情報伝達物質であるアセチルコリンの分泌を抑制することで、汗腺の活動を低下させ、汗の量を減らすことができます。これにより、脇の汗ジミやニオイの悩み軽減が期待できます。
腎内科クリニック世田谷美容のワキ汗対策注射

本院ではボツリヌストキシン(ボトックス)注射による脇汗治療を提供しております。使用する薬剤は2種類ご用意しています。
アメリカ・アラガン社製 ボトックスビスタ®
アメリカのFDAや日本の厚生労働省の認可を取得しており、高い安全性と品質が認められています。
韓国・メディトックス社製 ニューロノクス
アラガン社製ボトックスのジェネリック薬剤。韓国のMFDSで許可された安全性の高い製剤であり、他の製剤と比べてリーズナブルである点が魅力です。
ボトックス注射の流れ
カウンセリングで肌の状態を診察し、治療内容の説明を受けます。その後、悩みの箇所に注射を行い、自宅でのケア方法などの説明を受けて終了です。注射自体は数分ほどで完了。注射針を刺す際にチクッとした痛みがある場合があります。痛みが心配な場合は麻酔クリームの使用も可能です。 ごくまれに注射部位の腫れ・赤み・痛み、内出血などが生じることがありますが、数日程度でおさまります。まれに、違和感、頭痛や風邪のような症状、吐き気を生じることもありますが、これらも一時的な反応です。
- step1 カウンセリング
まずはカウンセリングを行います。肌の状態を診察し、治療内容や効果などについてご説明します。ご不明な点、ご心配な点があれば、お気軽にご相談ください。
- step2 施術
お悩みの箇所へ注射していきます。痛みが心配な方は麻酔クリームもご用意しておりますので、事前にご相談ください。
- step3 アフターケア
注射が終わりましたら、メイクをしてお帰りいただけます。最後にご自宅でのケア方法や注意事項をお伝えします。
施術後すぐにメイクが可能で、入浴や洗顔も普段通り行えるため、日常生活への大きな影響はありません。激しい運動、日光浴・サウナ、飲酒は控えてください。また、女性は2ヶ月間、男性は3ヶ月間避妊が必要です。妊娠中・授乳中の方、脊髄・末梢神経の病気の方、ボトックス治療で異常反応が出た方、全身性の神経筋接合部の障害を持つ方は施術を受けられません。
注射後数日程度で効果が現れはじめ、数週間経つと効果が定着します。この効果は3~6ヶ月ほど持続するのが一般的です。効果を持続させるためには、3か月から6ヶ月に1回程度の治療をおすすめします。
▼脇汗ボトックス注射の料金
https://setagaya-biyo.jp/beauty/menu/botox/
ボツリヌストキシン(ボトックス)注射は、切開を伴わない手軽な脇汗対策として、多くの方に選ばれています。効果を実感し、自信を取り戻したという方もいらっしゃいます。ですが、効果は一時的であり、根治を目指す治療ではありません。ご自身の症状や希望に応じて、クリニックで相談されることをお勧めします。また、シワ改善や小顔効果、アンチエイジングなど、さまざまな美容治療用途に使用できます。ぜひ一度当院にご相談にいらしてください。患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、適切な治療法をご提案させていただきます。まずは、お気軽に無料カウンセリングをご予約ください。
このコラムは2025年6月11日現在の内容です。詳細はお問い合わせください。